「空き家問題」について
1.「空き家問題」の現況
いわゆる「空き家問題」がお茶の間で認知されてからだいぶ経過しますが、空き家率は年々増加傾向にあります。
総務省による「住宅・土地統計調査」によりますと、空き家は「平成10年(1998年)から平成30年(2018年)の20年間で、約1.9倍の182万戸から347万戸に増加しており、今後も急速に増加していく」と予想されています。
2.「改正空家対策推進特措法」とは?
平成27年(2015年)5月に全面施行された「空家等対策の推進に関する特別措置法(以下「空家法」という。)」は、お茶の間のみなさまに「空き家問題」を認知させるには十分な効果を発揮しましたが、実際の空き家増加率を激減させるには至らず、「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律(以下、改正空家対策推進特措法)」が令和5年(2023年)6月に公布され、12月に施工されました。
改正空家対策推進特措法においては、(1)空き家に行政機関がその所有者の許可なくして立ち入り調査を行うことが認められた点、(2)行政機関が住民票や戸籍などを調べて所有者の個人情報を特定することができる点が特筆すべきところです。
さらに重要な点として、これまで「特定空家等」のみが対象だった、固定資産税等の住宅用地の特例(住宅用地に対する固定資産税が最大1/6、都市計画税が最大1/3まで減額される)の解除が、改正法では「管理不全空家等」も対象になることが組み込まれました。
ここで「管理不全空家等」とは「空家等が適切な管理が行われていないことによりそのまま放置すれば特定空家等に該当することとなるおそれのある状態にある(第13条)」にあるとき、市町村長が指定した空家等を指します。
ちなみに「特定空家等」の定義は下記のとおりです。
【参考】特定空家等(「政府広報オンライン」から抜粋)
(1)倒壊など著しく保安上危険となるおそれがある状態
(2)アスベストの飛散やごみによる異臭の発生など、著しく衛生上有害となるおそれがある状態
(3)適切な管理がされていないことで著しく景観を損なっている状態
(4)その他、立木の枝の越境や棲みついた動物のふん尿などの影響によって、周辺の生活環境を乱している状態
※現に著しく保安上危険または衛生上有害な状態にあるものだけでなく、そのような状態になることが予見されるものも特定空家等に含まれます。
「特定空家等」に認定されると、自治体は所有者に適切に管理をするように助言や指導を行います。それでも改善が見られない場合は勧告や命令を行います。所有者が命令に従わなければ、最大50万円以下の過料に処される場合があります。(空家法第14条、第16条)
そして空き家のある市区町村から「管理不全空家」や「特定空家」としての指導を受け、それに従わずに勧告を受けると固定資産税等の住宅用地の特例が受けられなくなってしまいます。
この改正によって、空き家所有者様にとってはますます重大な関心ごととなりました。
3.「空き家問題」解決に向けての課題
…とはいったものの、空き家所有者様ご自身としては何もすき好んで空き家のまま放置しているわけではない、と言いたいところでしょう。
令和4年10月の国土交通省住宅局資料「空き家政策の現状と課題及び検討の方向性」によると、所有者様が空き家にしておく理由として、「物置として必要」のほか、利活用を図ろうとしても「更地にしても使い道がない」、「住宅の質の低さ」や「買い手・借り手の少なさ」により空き家となっていることがあげられています。
また実際に売却・賃貸を考えている所有者様からは売却・賃貸する上での課題として、「買い手・借り手の少なさ」、「住宅の傷み」や「設備や建具の古さ」があげられています。
さらに「解体費用をかけたくない」、「労力や手間をかけたくない」といった消極的な理由のほか、なかには「特に困っていない」とする所有者様も少なくないとしています。
我が国としては都市の経済活性化や美観形成の観点だけではなく、災害大国として空き家放置による建物倒壊や火災発生の原因となりかねない等、経済・生活の安全保障の維持という点において極めて重大な関心ごとといえます。
この改正によって、空き家所有者様にとってはますます重大な関心ごととなりました。
4.「住まいのエンディングノート」を活用しよう
国土交通省が、日本司法書士会連合会及び全国空き家対策推進協議会と協力して「住まいのエンディングノート」を作成しています。
報道発表資料によれば「放置空き家の発生を防ぐため、住まいを相続した方へ住まいや土地などの情報を伝えていくことに加え、元気なうちから住まいの将来をご家族で話し合うきっかけとしていただくことを狙いとしている」としています。
空き家を相続する人が困らないため、ご高齢の所有者様をはじめ、これから自宅を購入しよう、とお考えの方もぜひご活用ください。
※上記リンク先ページを下へとスクロールすると「住まいのエンディングノート」をPDF形式でご覧いただけますのでダウンロードしてご活用ください。
PDFの閲覧にはPDFビューアが必要です。
「空き家」に関する相談はパル企画へ
当社としてはこのような我が国の課題を認識しつつも、むしろ空き家所有者様の立場に立って、空き家の利活用を含めた「空き家の在り方」を所有者様と一緒に考え、解決していくお手伝いをしています。
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