墓じまいについて知ろう
墓じまいの最近の動向
墓じまい(お墓の解体・撤去)の件数について、厚生労働省の衛生行政報告例によれば、改葬(お墓の移動)は2019年度では12万4346件だったものが、2022年度では15万1076件と増加傾向となっており、今後も増加していくものと想定されます。
また、日本最大級のお墓の情報サイト「いいお墓」が実施した調査によれば、墓じまいを検討する理由として「お墓が遠方にあること」や「継承者がいないこと」が挙げられています。
墓じまいを検討されている方にとっては、トラブルなく、スムーズに手続きを行いたいですよね。
そこで今回、墓じまいについて少し深掘りをしてみましょう。
墓じまいの手続きはどうやるの?
墓じまい(お墓の解体・撤去)を行う際の手続きですが、おおむね以下のとおりとなっています。
はじめに具体的な流れを理解しておくと、実際に動くときにスムーズになりますので押さえておきましょう。
1.お墓の名義人・親族に了承を得る
墓じまいを行うまえに、まずは墓じまいをするお墓に関わるご親族に必ず相談してください。
また、ご親戚だけでなく、お墓に埋葬されている故人の知人、ご友人がお参りに来ているかもしれません。そういった方に向けての周知についても考えておきましょう。
なお、墓じまいにあたってはお墓の使用者(お墓の名義人となっている方)の承諾が必要です。
2.現在の墓地管理者・お寺に相談する
現在お墓がある墓地の管理者から「改葬許可申請証」「埋蔵(埋葬)証明書」に署名・捺印をもらう必要がありますので、管理者に墓じまいについて相談しましょう。
なお埋蔵(埋葬)証明書については自治体により改葬許可申請書と一体となっている場合があります。
3.改葬先(遺骨の引っ越し先)を決める
ご遺骨の引っ越し先を事前に決めておきましょう。
お墓が遠い場合は周辺のアクセスの良いお墓を検討し、跡継ぎがいない場合は永代供養墓へのお引っ越しも検討してみましょう。
ちなみにお引っ越し先を決めてから動く方もいらっしゃると思いますが、上記1,2を飛ばさないように注意しましょう。
お引っ越し先の墓地を先に決めてしまうと、とくにご親族等からの心象が悪くなるかもしれませんので、説明のしかたにも注意が必要です。
4.工事を担当する石材店を決める
石材店を選び、見積もりを取りましょう。
指定された業者がいない場合は複数の業者に見積もってもらいましょう(相見積もり)。
5.自治体の役所で行政手続きをする
現在のお墓がある自治体(役所)に改葬許可申請書などの書類を提出します。
必要な書類は改葬許可申請書、埋蔵(埋葬)証明書、受入証明書です。
受入証明書は改葬先の墓地管理者からもらいます。
6.閉眼法要を行う
閉眼法要はお墓に宿っている故人の魂を抜き取るための儀式です。墓石にはご先祖様の魂が宿っているため、そのまま動かす、なんてことはできません。墓石をただの石に戻すため、お寺に依頼して行います。
7.墓石の解体工事をして墓地を返還する
ご依頼することに決めた石材店に墓石の解体工事を行ってもらいます。
そしてご遺骨は改葬先に納骨します。
以上がおおまかな手順です。
手続きが必要なこと、費用がかかることはともかく、ここで大事なことは「関係者への報・連・相を忘れない」ことです。
トラブルが起きないよう、関係者のお気持ちを汲み取りながら進めてくださいね。
墓じまいにはどんな費用がかかる?
墓じまいをするときには、どうしてもさまざまな費用が発生してしまいます。どのような項目があるのかみてみましょう。
1.お墓の撤去に関する費用
・墓石の撤去・処分工事費
・お寺へのお布施代
・離檀料(お寺を離れるための費用)
2.行政手続きに関する費用
・埋蔵証明書や受入証明書の取得等にかかる費用
3.新しい納骨先に関する費用
・新しい納骨先を用意するための費用
・お寺へのお布施代
墓じまいのとき気を付けたいトラブルとは?
墓じまい(お墓の解体・撤去)を行っているときに、思わぬトラブルが発生することがあります。ご親族間の意見の不一致や、お寺・霊園・石材店との手続き・費用に関するものなど、墓じまいに関連するトラブルは多岐にわたります。ここでは予想される事例をいくつかご紹介しましょう。
1.菩提寺(お寺)との離檀料にまつわるトラブル
墓じまいをして檀家をやめる際には、通常、離檀料を支払うこととなっています。この離檀料は実は相場がなく、お寺によっては高額な請求をしてくる場合があります。とくに先祖代々、ご縁の深いお寺の檀家となっている場合はいっそうの注意が必要です。
有効な解決策というものはありませんが、当然ながらご住職様も人間です。とにかく事前にお寺に相談し、経緯とご自身の意向を丁寧に説明してトラブルをできるだけ回避していきましょう。
2.親族間での金銭的なトラブル
共通のご先祖様を弔うお墓の場合で、ご親族どうしで費用を分担して支払うことを想定している場合には、意見の不一致によるトラブルが起こりやすいです。
やはり事前相談は必須です。丁寧に説明して、お金の面をしっかりと解決してから墓じまいを進めていきましょう。
3.石材店との墓石撤去料にまつわるトラブル
墓地の土地をきれいに戻すために石材店に工事を依頼するわけですが、この際に高額な撤去料を請求されることがあります。
作業が終わってからではあとの祭りです。事前に詳細見積もりを依頼し、相見積もりを行っておおよその相場を把握したうえで依頼する業者を選びましょう。
4.移動先でのトラブル
墓じまいのあと、別のお墓にご遺骨を移す際にもトラブルが発生することがあります。
改葬先のお墓をしっかりと確認するとともに、改葬先の墓地管理者と意思疎通をしっかり図っておくことが重要です。
まとめ
以上、墓じまいについて深掘りしてみました。
ご自身だけでなく、ご親戚・故人のご友人をも巻き込み、ご自身の都合だけでは決してうまく事が運ばないのが「墓じまい」。
報・連・相(「報告」「連絡」「相談」)を意識しながら、慎重に進めていきましょう。
ライフリボン きずな では、墓じまいのご相談だけでなく、相続、遺贈寄付、家族信託、空き家対策、不動産に関するご相談を承っています。
ご相談は無料です。どうぞお気軽にご相談くださいね。
お問い合わせは下のリンクから。